ミッドセンチュリーインテリアのコーディネート
ミッドセンチュリーのインテリアコーディネートは、斬新でありながらも合理的で機能的なデザインが取り入れられたレトロフューチャー(懐古的近未来)を連想させるお部屋づくりです。
ミッドセンチュリーは、厳密にはミッドセンチュリー(=世紀の中間)モダンと言い、20世紀の中盤である1950年代前後にアメリカで台頭したデザインの潮流で、その源流はドイツのバウハウスに遡ります。近代化の発展により建築やインテリアにおいて新しい技術や素材が使えるようになり、様々な建築家が新たな時代のデザインに挑戦し、モダンデザインの基礎を築きました。
その後、戦争などを背景に、ドイツからアメリカに流れた建築家達が、アメリカの経済発展の中でデザインのムーブメントを作っていき、彼らが考える未来の暮らしを表しています。
時代を経て、今となっては逆に懐かしい感じがする当時の未来感が楽しめるミッドセンチュリーモダンインテリアのコーディネートの特徴を見ていきましょう。
ミッドセンチュリーインテリアのフォルムと模様
ミッドセンチュリーモダンインテリアのフォルムは、美しい曲面や曲線が使われているものが多く見られます。ただし、クラシックのような手仕事による装飾的な意味合いを持つ細かい曲線や曲面と異なり、人間工学に基づいた合理的な背景から計算された曲面で、曲木や合板のプレスの技術、樹脂など新素材による加工技術を背景に生まれてきた大胆な曲面です。
一方、金属が使われたり、木の強度を上げたりすることで、すっきりとモダンな細い脚も特徴的に使われるようになりました。
ミッドセンチュリーモダンのインテリアでは、未来的なレトロフューチャー的装飾、ユニークな曲線、ポップなカラーパターン、アトミック柄などの装飾やパターンが使われることがあります。
アトミック柄のatomicは、「原子の」とか「極小の」「最小単位の」といった意味で、三角形や四角形といった幾何図形の基本形を組み合わせて描いた、ちょっと機械のように見えるような図案です。これが、工業発展目覚ましく宇宙開発なども進み始めた当時の人々の未来感を表現していました。インテリアだけでなくファッションにも取り入れられたようですね。
ミッドセンチュリーモダンのインテリアデザインは、こうした独特の特徴を持つスタイルといえるでしょう。
ミッドセンチュリーインテリアで使われる色と素材
ミッドセンチュリーモダンインテリアの木の色は、オーク材やチーク材など、落ち着いたダーク寄りのミドルブラウンが一般的です。木目がはっきりと見えることが多く、温かみのあるナチュラルな空間を演出します。
近未来を表現しようとするこのスタイルとしてはギャップがあるようにも感じますが、未来的なデザインや素材を取り入れているからこそ、やはり人の温もりやリラックスしてくつろげる雰囲気を作り出すために、こういった木を入れることでバランスを保っていたのでしょう。
カラーパターンとしては、木の色同様、くつろげて温かみのある雰囲気を出すために、深みのあるアースカラーを中心にオレンジやブラウン系がよく使われる一方、未来的な要素を取り入れるべく、様々な色相を使ったカラフルな配色をしています。
その際に、グレイッシュなトーンでくすみを出すとレトロ感を演出しやすくなり、鮮やかな明るい原色に近い色をペールトーン(パステルカラー)でアクセントに使うと、より楽しいポップな演出ができます。
ミッドセンチュリーモダンインテリアは、その時代背景からして、素材の多様性とは切り離せないものです。樹脂(プラスチック)や成形合板、アイアンなどの近代的工業素材が多用されており、これらによって、前述のフォルムが生まれ、カラーと相まって独特な世界観を形成しています。